生活習慣病やメタボリックシンドロームなどの病気を予防するためには、どんな食事を心がければよいのでしょうか。食事バランスガイドは日本人の食生活にあった健康的な食事の指針です。1日の摂取エネルギーの基本として、ご飯などの穀類で主食をきちんととり、肉、魚、卵、大豆製品からなる主菜と、野菜、豆、きのこ、海藻など食物繊維の多い副菜をバランスよく組み合わせることが、高血圧、糖尿病、肥満症など生活習慣病の予防につながります。
「食事バランスガイド」は2006年農水省、厚労省によって作成されました。食生活が不規則になりがちな独身男性でもわかるように、生活習慣病予防のために健康的な食事の指針として、1日に何をどれだけ食べたらよいのかが一目でわかる食事の目安です。
の五つのグループの食品(栄養素)を組み合わせてバランスよく取れるよう、それぞれの適量をコマのイラストで示しています。
当クリニックでの調査によると、高血圧や糖尿病の患者さんでは、副菜(野菜、豆類、海草など)の摂取が少なく、また肥満症の人は、主食(ご飯、麺類、パンなど)あるいは主菜(肉類)を摂りすぎています。そこで、まずは自分の食事パタンを知ることから高血圧や糖尿病の治療が始まります。「生活習慣病・肥満外来」では、この食事バランスガイドをテキストとして用いています。
世界には伝統的な健康食が3つ(日本、中国、地中海地方の食事)あるといわれます。日本人の平均寿命が男女共に世界トップなのは、この日本食の恩恵が大きいと考えられますが、戦後半世紀を経過した今、欧米食文化の影響を受けて、私たちの食事は質、量ともに大きく変化しています。
いちばんの問題は動物性脂肪の摂取過多で、これが肥満と糖尿病患者の増大の原因となっています。肥満は現代の疫病といわれ、運動不足とあわせて、心血管病のリスクを高めますが、現在増えている大腸がん、前立腺がんなどのリスクを高めることもわかっています。よい食事を取ることは、適正なカロリー摂取はもちろんのこと、バランスよく上手に食事を取ることを意味します。よい食事は糖尿病などの生活習慣病のみならず、がんの発症も予防します。