運動が健康に役立つことはよく知られていますが、運動習慣のある人はわずか2割です。いったいどのような運動をどのくらいすれば、肥満や生活習慣病の予防に役立つのか、そうした疑問に答えてくれるのがエクササイズガイドです。有酸素運動(速歩、ジョギング、水泳)、筋力トレーニング、レクリエーションスポーツ(ゴルフ、バレーボールなど)から、自分のライフスタイルに合わせて種目を選び、一週間に4エクササイズ以上、生活活動と合わせて合計23エクササイズ行うことが生活習慣病の予防に役立ちます。
「エクササイズガイド」は2006年厚生労働省によって作成されました。運動不足がもとで起きる生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防のためには、1週間で合計23エクササイズの活発な「身体活動」(3メッツ以上)が必要で、図中のパタンはそれぞれ1エクササイズの「身体活動」を示しています。スポーツなどの「運動」だけでなく、散歩や庭仕事など日常生活で行う「生活活動」を上手に組み合わせて活用します。
高血圧や糖尿病など生活習慣病の予防・治療には、「運動」が週4エクササイズ以上、メタボリックシンドローム改善には週10エクササイズの「運動」が必要です。つまり、日常生活上の歩行など「生活活動」のみでは、肥満予防、血圧や血糖の改善は難しいのです。
「生活習慣病・肥満外来」では、患者さんが自分のライフスタイルに合わせて、このエクササイズガイドを活用できるように指導します。
運動することの健康に対する有益性はさまざまです。狭心症や心筋梗塞などの心血管病にかかる危険性が減るだけでなく、体重のコントロールができ、肥満や糖尿病を予防する、血中コレステロール値を改善する、高血圧を予防し管理する、骨粗しょう症を予防する、大腸がんや乳がん、前立腺がんなどを予防します。また運動することは、日常のストレスから自分自身を解放することになり、不安や憂鬱を打ち消し、自己のイメージアップにつながるなど、病気の予防や治療にとどまらず、私たちの生活の質を高め、心や身体が健やかであることに役立ちます。